では物語についての感想を語りたいと思います
結論から言うと面白かった
青春のバイブルと言われているので現在29歳の僕が読んでも楽しめるのかと心配していたが杞憂だった
もちろん学生の時分にこの作品に触れていたらまた変わっていたとも思うが、今この精神状態で読んだからこそ面白いというのもあるだろう
あと僕はこの作品をなんとなく悪い感じの不良の物語だと思っていた──具体的に言うと「理由なき反抗」みたいな…
いやあ…まあ理由なき反抗を観たことないんだけど、たぶん理由なき反抗は悪い感じの不良の物語だろう
今作品はそうではなく、不良ではあるしどうしようもない奴の話だがどちらかと言うと厨二病的な?…
ひねくれていて、少しウィットに富んでいたり、優しかったりするひ弱な少年の話
物語はそんな不良少年が高校を4度目の退学にあう所から始まる
退学処理がなされて寮を後にするのが水曜日。の予定だったが、何となく急に、ふと土曜の夜に発ち、それから月曜日まで何をして過ごしたかの短い期間の話
それまでの間の色んな出来事が描かれていて、それに伴う主人公ホールデンの精神の変化やメッセージ性が奥深くて面白いらしいんだ…が
僕が本当に面白いと感じたのは主人公の性格。
そこから生まれる細やかな心理描写が格好良かったり、ダサかったり…知人や全く知らない人とする会話だったりが面白い
ネットなんかで他の人の感想みたいなのを軽く見たが、なかなか高尚な考察なんかしていたけどそこまで僕は読解出来なかった
でも青春のバイブルなんて呼ばれる理由は、何となくだけど分かったつもりだ
攻殻機動隊で引用された所がどこか探しながら読んでいたが、思っていたのとは少し違った
しかしすぐにそれと分かる文章を見つけることが出来た
「僕は啞(おし)でつんぼの人間のふりをしようと考えたんだ」
これが前述の攻殻機動隊の一説の元ネタ
啞とは口がきけない人の事で、つんぼとは耳が聞こえない人の事。
(恥ずかしながら啞は始めて聞いた言葉だがよく考えてみると「啞然」の"啞"としても使われる)
こうして元ネタを発見出来るだけでハッピーだが、この台詞は今作品の後半で、面白い展開の所で使われるからなお良い
他にも攻殻機動隊では、引用や元ネタとして使っている所が多いみたいで、ライ麦畑でつかまえてを読んでみて、改めて攻殻機動隊を観るのも楽しみの一つになった
例えば攻殻機動隊の主人公の草薙素子が、赤いハンチングを被り、ホールデンがしたように「ひさしをぐるっと後ろのほうに回したりなんか」したシーンがあるらしい。
僕はそのシーンを正確に覚えていないので観直したらきっと面白いだろう
あとはそうだな、ライ麦畑でつかまえてというタイトル。このタイトルの所以になった箇所がなんとも良かった
仰々しい理由があった訳ではないんだけど、そこがまた良い
作品にはそのタイトルにした理由みたいなのがあった方が良いと思うんだけど、意味を持たせすぎても何というか…ホールデン風に言わせると"インチキ"っぽい気がする
画像は攻殻機動隊でライ麦畑でつかまえてが出演したシーン
実はこのカバーのが欲しかったんだけど…すぐ買おうと思っていたのでそこまで探していない
今持ってるのを友人にあげたり失くしたりしたら今度はこのカバーのライ麦畑でつかまえてを探してみる事にする
それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました。